フロント用、つむじ用、部分禿(いわゆる十円禿)用など特に小さなかつらの場合、ベースに2個分の形状に髪を植えてから、切り出すことができる。
こうすると、同一料金で2個のかつらを製作できるのだ。
お得な制度であるが、2個は同一形状、同一仕様に限られる。
またサイズの制約も厳しい。サイズオーバーであるにも関わらず2個取りを指定すると、制作中にトラブルが発生することがある。もちろん、新しく注文された時にはきちんとテンプレートのサイズをチェックするので、意に反して2個取りにならないという事態は起きない。
きちんと事前に確認されるのだ。
しかし、2回目以降の注文で、工場にテンプレートが預かってある場合、当店でサイズチェックができない。サイズオーバーで2個取りを注文した場合は、大抵の場合、製作途中で確認が入る。
お客さまの回答を待ってから続きの工程に入るため、納期が遅れることになる。
すぐに回答があればたいした遅れにはならないが、もしお客さまが発注した時のメールアドレスをチェックしていないと、
回答があるまで進行が止まってしまう。納期に余裕がない状態で発注している時は注意が必要である。
大きさのオーバーにさえ気を付ければ、2個取りは是非指定したい。
2個取りを指定しても、納期が延びることはないし、品質が落ちる心配もない。
とは言え、2個取りのために小さすぎるテンプレートを作ってしまっては本末転倒である。
2個取りだからというわけではないが、小さなかつらの場合、縁の形状に制約が生じる場合もある。
大きなかつらなら、周囲に沿って、全部または一部(横と後ろ)に縁を付けるのだが、
小さいかつらの場合、周辺に沿って作りたくてもそれだけの大きさがない場合がある。
その場合は、全面縁にする手がある。すべてのレースに縁を付けるのだ。
この方法なら、大きさや形がいかようであっても、縁を付けることができる。
ただし、フロント用であれば、縁なしの方がお勧めである。
しかし、どうせ縁なしにするなら、2個とりを指定するよりも、大きなかつらを1個作り、それから所望の大きさのかつらを切り出す、という手もある。
この方法だと、1個38,000円のかつらから多数のかつらを切り出せるので、とても経済的だ。
あるいは、既製品(あらかじめ製作してある19cm×24cmサイズの縁なしカツラ)を利用して同じ事もできる。
小さなかつらの場合は、毛量や髪の流れの方向などはそれほどシビアでないため、こうした手法が有効なのである。
海外通販系かつらでは、決まった面積内なら何個でも取り出せるというルールにしている場合もある。
残念ながら、国内でこのシステムを採用しているかつら会社は、当店の知る限り、ない。