安価なかつらでは、最も希望に近いものをカタログから選ぶようなレディメードや、
それを多少加工するだけのセミオーダーメードが多い。
一方、フルオーダーメードとは、ひとりひとりのお客さまに合わせて、大きさ、髪量、髪色などを指定して
ゼロから製作するかつらである。
自然さが違うので、かつらは是非フルオーダーメードで作りたい。
一方、フルオーダーメードでは納期がかかるという欠点があり、急ぐ場合は、レディメードやセミオーダーメードでもやむを得ないだろう。
レディメイドのかつらは、同一規格のものを大量に安く作る必要があるため、機械で髪を植える方法もよく採られる。
一方、オーダーメードかつらでは、通常は機械植えはせず、人が1本1本手で髪を植える。
手間はかかるが、結び目が小さく、手植えのかつらの方が高級である。
セミオーダーメードは、会社によって様々である。
最も多いのは、既製品と同じようにほぼ完成レベルまでかつらが仕上げてあり、最後の小修正だけ行う、というものである。
セミオーダーメードというより、仕上げサービス付き既製品、といったものだ。
このタイプなら即日仕上げから、せいぜい1週間もあれば、かつらは完成する。
もう少し手をかけたものでは、白髪を追加植えしたり、大きさが調整できたりする。
このレベルだとセミオーダーメードとは言え、かなりよいものが期待できる。
ただし値段は高く、フルオーダーメイドの8割以上したりする。
これならオーダーメードかつらの方がよいと思われるかもしれないが、納期がずいぶん違う。
このタイプのセミオーダーメードでも2週間くらいで完成するので、1ヶ月以上かかるフルオーダーメードが待てないときはよい選択肢となる。
レディメード(既製品)かつらの場合は、即納は当然として値段も安い。中には1万円前後のものもある。
現在、中国では、かつらの髪植え工員のような低賃金単純労働作業者は、とても不足している。
(一方で、大学を出た高レベルな求職者はあまっていて、頭脳労働者の失業が深刻な社会問題となっている。)
低賃金を原動力とした中国のかつら産業は、一大転機を迎えようとしているのかもしれない。
これは、すでにかつら製造原価の上昇という形で、表面化しつつある。
さて、かつら業界全体に目を向けてみると、
アートネイチャーやアデランス社はオーダーメード品がメインである。
一方で、ラパンなど既製品を中心としているメーカーもある。
また、既製品中心のメーカーは女性用のファッションウィッグを主力製品としているのが普通であるが、
中にはコスプレ用かつらで急成長を遂げたMAPLE(メイプル)などの例もある。