かつらは、「縁」が付いていない部分には余白のレース(髪が植えていないレース)がついた状態で届く。
フロントは縁なし、横と後ろは縁ありのかつらではフロントだけ余白レースが、
すべて縁なしのかつらでは全周囲に余白レースが付いた状態となっている。
一方、全周囲縁ありのかつらでは余白はついておらず、本ページの解説の対象外である。
かつらを使用する前に、この余白レースは切り落とす。ただし、ギリギリで切ってしまうとほつれて髪が抜けるので、少し余裕を見てカットする。
この余裕は2ミリから8ミリ程度の間がお勧めである。最初は2ミリから初めて、支障がなければ次回から広くしていくのがよい。
かつらの生え際を見せる場合があるのなら、この余白は小さいことが望ましい。
一方、かつらの生え際を見せないのであれば、余白は幅が広い方が寿命の点で有利である。
生え際を見せるといっても、常時見せるのではなく、一瞬見えるだけであれば、それほど気にする必要はない。
是非、余白の幅を広めに採ることをお勧めしたい。
一部のかつらサロンでは、余白部分が直線に見えるのを防ぐため、ギザギザにカットするケースがある
しかし、当店では、それはやりすぎであると考えている。レースをギザギザに切ると着脱時に手間が増えるため、
やめた方がよい、というのが当店の見解である。
分け目がある時は、その周辺だけぎざぎざにするという手もある。
当店の提携理容店から、「余白を切り落とさずに装着しているケースがまれにある」という連絡が当店に届いている。
くれぐれも、余白をカットせずに装着することがないようにしてください。
以前、「どうせ切り落とすのなら、なぜ余白なんてものがついているのか」という質問を頂いたことがある。
この余白は、かつら専門理容店にとってはどうしても必要なのである。
かつら専門理容店では、かつら単体でカットするとき、かつらを台座に固定してからカットする。
ごくわずかな修正なら手に持ってもできないことはないが、ちょっと切ろうと思うと台座にセットして両手を使うのがセオリーなのだ。
この時、台座に固定する方法としてピンを使う。
ピンと言っても、従来型かつらについているような髪留め用のピンではない。虫ピンとかまち針のことである。
このピンをレース越しに台座に刺して、かつらを固定するのだ。
もし余白がないと、かつら本体部分のレースにピンを打たざるを得なくなる。
この場合、かつらカットの際にレースを引っ張ると、その部分のレースが損傷する(破れたり、穴が伸びたりする)恐れがある。
余白があれば、少々レースが損傷してもかまわない。つまり、余白はピンを打つためのスペースなのだ。
この場合も、作業が終わってから、余白部分は切り落とす。
こうすれば、かつら本体部分は損傷なくカット作業を終えることができる。