男性型脱毛(AGA)では、多くの場合生え際の後退と、つむじ周りの薄毛化が同時に起こる。
しかし、人によっては、つむじだけが薄くなるケースがある。そんな時に使用するのが、つむじ用かつらである。
フロントは自毛を活かし、頭頂部だけを隠すかつらだ。
ただし、男性用脱毛症はゆっくりと進展する場合がある。典型的なパターンは、当初はつむじだけ禿げていた場合でも年を重ねるごとに
フロントが後退し、やがて頭頂部と合体する、というものだ。
どこがどの時期に禿げるかは、ホルモンとその受容体が決めるため個人差が大きい。
しかし、男性型脱毛症の初期の段階では、フロントは問題なく、つむじだけなんとかしたい、というケースはよく見られる。
つむじ用のかつらは、フロント生え際までカバーするかつら(一般的な部分かつら)より有利である。それは次の理由による。
・装着が少々いい加減でも、それが原因でバレることはまずない。かつらと自毛の境界部分が目立ちにくいのだ。
・このため、全周囲縁ありや全面縁タイプが問題なく使用できる。
これはテープだけで装着できて扱いが楽な上に、長持ちする。
かつらは、フロント生え際が一番大事で、この部分に一番気を遣う。それがないつむじ用かつらというのは、何かと扱いがラクなのである。
全体の販売数量から見れば、つむじ用というのはかなり割合は少ない。
男性の場合、脱毛がつむじからスタートする場合でも、つむじだけにとどまるケースはあまり多くなく、
前頭部も薄毛化が進むケースが多いためである。
つむじ用の場合は、わざわざそれ用にオーダーメードしなくても、既製品かつらから切り出すという手もある。
また、オーダーする場合は、つむじ用の大きさにせずに、許される最大の大きさで「縁なし」のかつらを
注文し、そこから切り出す。
こうすると、1回の注文で、何個ものつむじ用かつらを取ることができ、とても経済的だ。
通常よく使われる、直径5cm程度のつむじ用かつらなら、既製品から10個以上切り出すことができる。
この場合、かつら1個あたり、わずか2500円という計算になる。
ただし、この方法だと、つむじを形成する放射状の毛の流れの中心がないため、ヘアアイロンやドライヤーなどで毛の流れを変え、つむじを作り出してやる必要がある。
小さな円形脱毛症や、傷などによる脱毛用のかつらの場合も、つむじ用と同じように考えることができるが、毛の流れの中心を作らなくてよい分、楽である。