貼るタイプのかつらを使用するには、次の消耗品が必要である。
【かつら洗浄】
・シャンプー
・コンディショナー
【かつら着脱】
・接着剤またはテープ
・リムーバー
【その他(必要に応じて)】
・かつら台
・毛染め剤
シャンプーやコンディショナーは、かつら専用のものでなくても問題はなく、
通常の市販品でよい。かつらを使っているからと言っても、通常のシャンプー費用と変わらない。
テープ類は通常、月に千円くらいの支払いとなる。
毎日着脱しても2千円は超えないだろう。
(ただし、国内では、店によっては高価な値段をつけて販売していることがある。
競合が少ないので、強気な価格設定が可能な場合があるのだ。
また、一部の大手では自社ブランドのテープを用意している。
こうした値段のテープ類を使うと、2千円を超えることがある)
毛染め剤も1箱千円以下だ。
こうして考えると、セルフメンテナンスのかつらの費用はほとんどが本体費用であり、
消耗品費はたいしたことはない。
こうした消耗品については、広く売られている市販品か、かつらショップでしか扱っていない専用品かで大きく価格が変わる。
実のところ、かつら専用の品はそれほどあるわけではなく、汎用品でほとんどをカバーできる。
もし、これまで専用品を使っていたのであれば、汎用品で代用できないか検討してみるべきである。
特にこれから長期に亘って装着することを考えているのであればなおのことである。
禿を直す薬が存在しない以上、一生のつきあいなのだから長期的コストを計算するのは必要であろう。
当店では、かつら用の消耗品は販売していない。
その理由は次のとおりだ。
消耗品の種類は多い。
自店では販売せずに適切な消耗品販売店を紹介した方が、お客さまから見た選択肢が増える分、よいのではないか、と考えた。
実際、かつら用テープや接着剤は、店によっていろいろなものを扱っており、有名なアイテムはどの店でも扱っているが
そうでないものは店によってラインナップが異なる。
当店でそのすべてを扱うのは不可能であり、それなら必要に応じて扱っている店で買った方が便利である。
また、当店は、消耗品を扱わない分、かつら本体に特化、集中できる。
開業以来、こうしたスタイルを貫いている。
とはいえ、ニーズが高ければ少数の消耗品なら販売に参入することもやぶさかではない。ご意見を頂けると幸いだ。
なお、かつらの消耗品では、他の品では代用が効きにくいものもある。
特に接着剤、テープについては、予備を必ず購入しておく方がよい。
できれば車とか通勤通学用かばん、職場のロッカーなどに1セット入れておくと、万一剥がれた時にも安心だ。
また、接着力を回復するアイテムもあり、これがあれば剥がれた位置のテープだけを直すことができる。
テープの貼り直しだと、いったんすべてのテープを貼り直す必要があり、トイレの個室でやろうとすると結構手間がかかる
面倒な作業となってしまう。
なお、小さな鏡、それも照明付きのものがあると便利なので、ぜひそろえておきたい。
かつら用の消耗品を扱っている実店舗は多くはない。
たまに扱っていても、中小店ではかなり品揃えが少ない。少数しか売れないものだとあまり在庫にして
経年劣化を起こすリスクを負えないのだ。
床屋が兼業で行っているようなカツラの店だと、テープは1,2種類しかおいていないことも珍しくない。
このため、ほとんどの場合、通信販売で入手することになる。
楽天などに複数のかつらショップが出店している。楽天ならまず安心できるのでお勧めだ。
以前は、アートネイチャー社が、同社製品用消耗品をネット上で売っていた。
しかし、今は同社と契約がない方には、それ用の消耗品も売らないそうである。
消耗品を誰にでも販売すれば、同社の売り上げになるだけでなく、よい宣伝になると思うのだが残念である。
時折、かつら用テープや接着剤、リムーバなどで一番のお勧めは何か、というお問い合わせがある。
テープや接着剤は、強弱様々なものが売られているが、強いものは扱いが面倒というトレードオフがある。
状況によって最適なものは変化する。
最初は強いものから始めて、次に弱いものを試して欲しい。
また、普段使いのテープ類と、スポーツ用、あるいは夏用を変えるのもよい方法である。
テープは汗や皮脂で接着力が低下するので、汗をかくときだけは、強いものを選んだ方がよい。
特に、禿の部分は皮脂の分泌が多い場合もあり、要注意だ。
一方、自宅にいるときなどはとても弱いものでも問題ない。風もなければ接触もない、いたずらで触られることもない、
となれば、自重でずれるのを防ぐことさえできればよいのだ。
この程度の力なら、かつら用のテープの中でももっとも弱い、レッドテープとか、ホワイトテープと呼ばれるもので十分である。
粘着剤が残らず、リムーバーも要らず、髪がついても剥がすことができる、などいいことずくめだ。